Neo Culture #Journal

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ある文化がある異文化を受容するには、母体となる文化においての既成概念の破壊と伝統の再構築が必要となる。 Neo Cultureは、その過程を人為的かつ局所的に再現しようとする、一種の実験である。webページ: horizon.boston

ガラムマサラを深掘りしてみた。Ⅱ-実践

Ⅰの記事ではガラムマサラとは何かということをざっと解説いたしました。このⅡの記事ではガラムマサラのレシピを2種類紹介しますので、実際に作ってみましょう。作ったガラムマサラは私の出しているレシピ本に載っている料理の仕上げに追加で使っていただくことでその効果を確認していただけます。

 ガラムマサラの作成の手順は全て一緒で、フライパンであまり色づけないように弱めの火でスパイスを乾煎りし、香ばしい香りを立てた後、お皿に移してから完全に冷ましてパウダーに挽きます。ガラムマサラの中にはスパイスを全て一緒に乾煎りするのではなく、別々に一つ一つを乾煎りしてから、冷まして全て一緒にしてパウダーに挽くという作り方をするものもありますが、インドでは少し特殊な作り方なので本コラムでは割愛いたします。作り方は写真を交えて、ひとつめのチキン向けのガラムマサラで解説します。

 

〇ひとつめ・・・チキン向け

 

<使用するスパイス>

カルダモン 8粒

クローブ 8粒

シナモン 3㎝×3本

スターアニス まるまる1粒

ブラックペッパー 大1

 

<手順> 

①フライパンに全てのスパイスを入れる。八角やシナモンなどの大きいスパイスは手で小さく割る。

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②フライパンを弱めの中火にかけ、木べらでスパイスを混ぜながら乾煎りして香りを立てる。人によっても加減が違うが、上の写真と下の写真とで色がほとんど違わないと感じる程度でも香りが立てばそれでOK。中にはもう少し色付ける人もいるが、茶色く色づく程に煎ることはガラムマサラ作りでは稀である。ちなみにこの量ならこれで乾煎り完了に必要な時間は2~3分程度。火が強すぎるとスパイスの芯まで熱が伝わる前に表面が焦げてくるので火は弱めを意識し、常に混ぜながらゆっくり全体を言っていくことがポイント。また熱の加減は、火を調整するのではなく、フライパンをガス台から上げ下げしつつフライパン全体の温度を均一に保つようにするとうまくいきやすい。また、乾煎り中に煙が立つが、煙が立つこと自体は悪くなく、あくまで注目するのはスパイスの表面が焦げないように、角に色づかないように注意するという点。

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③乾煎りが完了したスパイスはすぐにフライパンからおろし、皿の上で冷ます。冷めたらパウダーに挽く。
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乾煎りの段階で入りが深すぎるとパウダーにしたときに焦げ茶色に近い感じの色になる。もちろんそういうガラムマサラもあるが、常に深く煎るクセが付くと、他に多くある浅煎り系のミックススパイスが作れなくなってしまうので、まず浅煎りを習得すると良い。 

 

<特徴>

 華やかな香りのする配合のガラムマサラです。スターアニスは1/2粒でもいいですが、1粒思いきって入れていただければと思います。なぜ用途がチキンに限定されているのかと言うと、インドでは肉を食べる習慣のある人たちでも一番食べる肉がチキンなのです。ビーフはインドでは宗教上食べない人が多いですし、マトンは肉を食べるインド人たちの間でもけっこう好き嫌いがあるので、肉を食べる人でガラムマサラを手作りする場合はチキンだけ考慮に入れてガラムマサラを作る人も多くいます。今回はそんなノリのレシピです。このレシピをマトンに使っても別に悪くはありませんが、マトンまで考慮に入れる場合はメース細いさや3本分、ナツメグ1/4tsp、ブラックカルダモン2粒を補って少しワイルドな香りに近づけた方が、私個人的にはいいと思います。ナツメグは粗く潰すか、粗く削ったものを使います。

 

<適した料理>

・デラドゥン地方のホームスタイルチキンカレー-北インドのおうちカレー 上掲載

・パンジャブ地方のホームスタイルマトンカレー-北インドのおうちカレー 上掲載

・チキンタリワラ-北インドのおうちカレー 下掲載

・スパイシーキーマカレー-アジアに学ぶ大量調理のカレーレシピ 南アジア編掲載

・チキンマサラ-スパイスカレークックブック初級掲載

・ダムチキン-スパイスカレークックブック初級掲載

 

〇ふたつめ・・・ベジ料理向け

 

<使用するスパイス>

クミンシード  2/3tbsp

フェンネルシード 2/3tbsp

ブラックペッパー 2/3tbsp

クローブ 2/3tbsp

カルダモン 2/3tbsp

シナモン 5㎝×1本

 

<特徴>

 こちらのガラムマサラは軽やかで香ばしい香りを持ちます。クミンを中心とした香ばしい香りはジャガイモや大根を始めとする各野菜料理に相性ピッタリです。このレシピは肉を食べずに、豆と野菜の乳製品のみを食べるヒンドゥー教徒の家庭のガラムマサラをイメージしたものです。豆料理にはガラムマサラを使わないことも多いのでとりあえず野菜料理に合いやすいように配合されています。

 

 <手順>

ひとつめと同じ。

 

<適した料理>

・カボチャのタマリンドカレー-北インドのおうちカレー下巻掲載

・アルゴビ-アジアに学ぶ大量調理のカレーレシピ 南アジア編掲載

・ナブラタンコルマ-アジアに学ぶ大量調理のカレーレシピ 南アジア編掲載

・キノコのバターカレー-アジアに学ぶ大量調理のカレーレシピ 南アジア編掲載

・メティカボチャ-スパイスカレークックブック初級掲載

・里芋のカリサブジ-スパイスカレークックブック初級掲載

 

 また、インド人の紹介しているガラムマサラのレシピでは「伝統的なパンジャブ地方の配合です」とか「伝統的なジャイナ教徒の配合です」とか「伝統的なベンガル地方の配合です」といった感じで地方や宗教がわりと表に出されます。しかしそうは言われても遠すぎるインドの地、「確かに!これはあのパンジャブ料理の香り!」とはなかなか私たちはなりづらいと思いますので、このコラムでは地方や宗教というよりはそれを踏まえたうえで「どの料理に向きます」という表現をしています。

 

ぜひお試しくださいませ。